7月8日(土)、本学瀬田学舎にて食と農の総合研究所「研究成果報告会」を開催しました。報告会では、サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社研究部 上席研究員の田中 良和 様をお招きし、「バイオテクノロジーを用いた新しい花の開発と事業化」をテーマに「青いバラ」の開発の経緯や成功までの道のりについて、ご講演いただきました。
次いで、2016年度から開始した研究プロジェクトの研究成果について、口頭発表(大門プロジェクト及び永野プロジェクト)とポスター発表により報告されました。
当日は、約200名(一般参加者・学生含む)が参加し、盛会のうちに報告会を終了しました。
基調講演
「バイオテクノロジーを用いた新しい花の開発と事業化」
田中 良和 上席研究員
(サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社)
口頭発表1:大門プロジェクト
「水田転換畑における地域特産作物の生産基盤としての耐湿性の理解と湿害対策」
大門 弘幸 (農学部資源生物科学科)
近畿地域の水田転換畑では,転作作物として大納言系アズキが生産されており,その慣行播種期は7月中下旬である.しかし,収量の年次変動が大きく,その要因として梅雨の長期化や多雨の場合の圃場管理の困難性や出芽や初期生育の不揃いがあげられる.そこで,慣行より1ヶ月早く播種し,蔓化に伴う過剰な茎葉部を開花期前に切除する剪葉処理を試み,生育反応と収量性に及ぼす影響を明らかにし,生産現場への導入の可能性を論じた.
口頭発表2:永野プロジェクト
「RAD-seqを用いた、遺伝的浸透のある種の持続可能な遺伝的復帰方法の確立」
手塚あゆみ (食と農の総合研究所)
本研究では、日本在来家畜の対州馬を研究対象とし、絶滅が危惧される在来家畜保全にRAD-seq法が果たしうる役割の実証を進めている。対州馬を例に、他の在来家畜・非モデル生物でもすぐに利用できるRAD-seq法によりゲノムワイドなSNP検出を行い、遺伝的多様性の維持と外来品種の遺伝子浸透からの復帰方法の確立を目指す。対州馬38個体、他の在来馬18個体を用いてRAD-seqを行ったところ、対州馬の遺伝子浸透は極めて限定的であること、他の在来馬に比べヘテロ接合度が低くなっており、遺伝的多様性の保持が急務であることが示唆された。また副次的に、得られたSNP情報から対州馬の特徴と一致する、選択の痕跡がみられる遺伝子が検出された。
ポスター発表1
「滋賀県域の発酵産業の振興を指向した発酵微生物の探索及び評価」
島 純(農学部植物生命科学科)
ポスター発表2
「イネ根皮層細胞に効率よく侵入するクサネム根粒菌の探索」
畑 信吾(農学部資源生物科学科)
ポスター発表3
「農作物の新品種開発に向けた作物化過程解析研究ネットワークの構築」
岡田 清孝(農学部植物生命科学科)
ポスター発表4
「サツマイモネコブセンチュウ系統の分類と寄主適合性との関連解析」
浅水 恵理香(農学部植物生命科学科)
ポスター発表5
「穀物温度応答の人為制御による食料増産の試み」
古本 強(農学部植物生命科学科)
ポスター発表6
「蕎麦製麺加工の伝統的技法の物性論的解析」
朝見 祐也(農学部食品栄養学科)
ポスター発表7
「パンコムギ胚乳貯蔵タンパク質組成に与える近縁野生種の細胞質効果」
中村 千春(農学部植物生命科学科)
ポスター発表8
「上方配位子を考慮したビタミンB12同族体の定量」
土居 幸雄(農学部食品栄養学科)
ポスター発表9
「味覚改変作用機構の解明:ミラクルフルーツの甘味提供機構をモデルとして」
植野 洋志(農学部資源生物科学科)
ポスター発表10
「高齢者の栄養ケア対策とストレス因子との関連性について ―癒やしの食事からのアプローチ―」
宮崎 由子(農学部食品栄養学科)
ポスター発表11
「新規乾燥耐性機構の研究」
玉井 鉄宗 (農学部資源生物科学科)