植物生命科学科の竹中祥太朗助手、山本涼平助手と中村千春特任教授の研究グループは、特定の核ゲノムと種々の細胞質ゲノムを組み合わせた核細胞質雑種系統を用いて、環境ストレスのひとつとして注目を集める冠水ストレスがパンコムギの種子発芽と幼苗生育に与える影響を調査し、この重要な環境適応形質に見られる核ゲノムと細胞質ゲノムの遺伝的多様性を明らかにしました。さらに耐性系統と感受性系統の比較から、冠水ストレスによる生育阻害が活性酸素除去機構の主要酵素であるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の顕著な活性上昇を伴うことを見出し、冠水ストレスに晒されたパンコムギの幼苗は強い酸化ストレスの影響下にある可能性を示唆しました。これは、近縁野生種の細胞質ゲノムがパンコムギの冠水ストレス応答に与える影響を初めて実証した研究成果です。
本研究の成果は、10月23日付(日本時間)で受理され、11月2日に国際学術誌「Scientific Reports」(オンライン)に掲載されました。
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掲載誌:Scientific Reports(online)
www.nature.com/articles/s41598-018-34682-3
食と農の総合研究所 中村千春代表研究プロジェクト
「コムギの冠水ストレス応答に及ぼす異種細胞質の効果と核細胞質相互作用に関する解析」